鍼灸師とは

病を未然に防ぎ、健康を支えるプロフェッショナル。

中国発祥の鍼灸が日本で独自に発展

紀元前の中国ですでに確立

鍼灸は古代中国(紀元前206年~8年)に基本的な部分が確立され、5世紀半ば頃に日本に伝来したのち、平安時代後期には独自の進化を遂げました。江戸時代までは日本の医学の主流でしたが、明治時代以降は西洋医学の導入により、鍼灸は一時衰退しました。

20世紀後半に世界規模で注目

しかし大正時代になると、西洋医学で対応できない症状に対する鍼灸の有効性に注目した医師たちが、伝統医学を残す運動をはじめ、昭和に入って鍼灸技法に関する研究も進み、鍼灸医学は再興を果たしました。1970年代に鍼麻酔を用いた手術が報道され、それが火付け役となり欧米を中心とした世界的なブームに発展し、鍼灸の効果はWHO(世界保健機関)に公式に認められるに至りました。

「鍼」「灸」の具体的なやり方は?

人体のツボを刺激するのが基本

鍼灸治療は、身体に現れる反応点である経穴(ツボ)に対して、鍼を刺したりお灸で温めたりといった刺激を加えて、自然治癒力を引き出します。「鍼」は髪の毛ほどの細さの物を皮膚に刺し入れて物理刺激を加えます。「お灸」はヨモギを乾燥させて生成した艾(もぐさ)を米粒ほどの大きさに取り分けて皮膚上で燃焼させて温熱刺激を加えます。それらにより神経の反射を起こし、自律神経系・内分泌系・免疫系の安定、血行の促進や痛みの緩和を引き起こします。

東洋医学と西洋医学の両方の要素

現在の鍼灸治療には、東洋医学的と西洋医学的といったアプローチがあります。東洋医学的アプローチでは、古典医学の陰陽五行論や臓腑経絡病証などに基づいて患者の病態を分類して、経絡・経穴の理論や補瀉法といった伝統的な手技などを用いて施術します。西洋医学的アプローチでは、現代の解剖学・生理学・病態生理学などに基づいて患者の病態を分類して、筋肉・神経・運動学的な理論で鍼だけでなく電気なども用いて施術します。

「鍼」「灸」は一生ものの仕事

幅広い年齢で現役で活躍できる仕事

厚生労働省のデータ(平成28年)では、「はり師」「きゅう師」は11万人を超えます。「健康」に関する仕事の中でも、「鍼」は非常に専門性が高く(人間の身体に施術のため鍼を刺せるのは、医師・歯科医師・はり師だけの権限です)、幅広い年齢で現役で活躍できる人の多い、「一生もの」の仕事です。

西洋型の現代医療を補完する「もう1つの医療」

鍼灸や柔道整復のような伝統医療の根本は、人間の身体の力を引き出す健康創成。いわば「足し算」の発想です。「いのちを救うお医者さん」(西洋医学)と、「生活や気持ちを向上させるはり師・きゅう師・柔道整復師」(東洋医学)は、互いに補完し合って、健康で幸せな社会づくりに貢献していけるでしょう。